眼科学教室通信(1)私の修業時代〜研修 レクリエーション

いくら忙しいといっても医局ではさまざまな集まりがあり、団体旅行は親睦以上の意味がありました。春と秋と一回ずつ、土曜日の外来をすばやく終えての一泊二日の医局旅行は教室挙げての年中行事でした。萩原教授から奥様の御実家の上州宝川温泉に招かれたり、夏の伊豆半島戸田の学生寮への水泳旅行、冬の信州や上州へのスキー旅行と、息抜きには絶好の行事も盛り沢山でした。


三年目には夏休みがもらえましたので、一年先輩の高尾宗良先生に同行して十日間ほどの北海道周遊の旅を楽しむことができました。その頃、札幌からはるばる斜視のために上京した女性があり、高尾先生の受け持ちで手術結果が良好だったことも手伝って、その女性から札幌に寄ってほしいとの誘いを受けてもいたのです。彼女の家に立ち寄ると、当時札幌ジャイアンツと呼ばれて好評だた特大のビールで歓待してくれました。


医師と患者の間にはこういった緊密な関係が生まれる余地があるはずであり、医師は単に医療を提供するだけではなく患者との人間関係を重んじることの大切さを大いに学ぶことができたのです。



出典:『落穂のバスケット』大庭紀雄(2002)

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