昭和時代の硬貨③ (太平洋戦争末期)


太平洋方面の戦局が悪化した昭和19年になると、兵器の製造が一層優先されたため、アルミを用いた貨幣が製造されなくなります。代わって登場したのは錫と亜鉛を合成した貨幣です。これは当時日本が占領していた東南アジアで産出されるものでしたが、柔らかすぎるため貨幣に適した素材ではありません。さらに南方の資源地帯からの輸送が困難になっていたため、5銭硬貨と10銭硬貨は昭和19年中に製造が中止されました。1銭硬貨は引き続き昭和20年まで製造が続きます。昭和20年には金属ですらないマグネサイトの硬貨も製造されましたが、こちらは流通することなく終戦となりました。


1銭錫貨(品位:錫500/亜鉛500) 直径15mm


穴あき5銭錫貨(品位:錫930/亜鉛70) 直径17mm


10銭錫貨(品位:錫930/亜鉛70) 直径19mm


未発行1銭陶貨(品位:三間坂粘土60%/泉山石15%/赤目粘土15%/その他10%) 直径15mm

(参考文献:日本貨幣カタログ / Wikipedia)

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