2024.09.16
眼科学教室通信(1)私の修行時代
私の修行時代を振り返る時、そこには単に古き良き時代というだけではすまされぬ、医学教育にとっての本質的な価値や意義が含まれていたように思います。
私が眼科の修行をはじめたのは東大眼科に入局した昭和37年(1962年)で、今から六十年以上も前になります。
医学生(昭和32~36年)からインターン(1年間)にかけての我が国は、戦後の混乱からようやく立ち直り落ち着きを取り戻し、旧弊から脱皮して新たな建設に向けた躍動がはじまろうとする時代でした。
医学教育についてはインターン制度などの改革が実行されておりましたが、その基本理念は、まだ職業教育として捉えられてはおらず、遠く明治の時代から綿綿と続く医局制度を柱としたものでした。
臨床の実地よりも学理を重視する教授も稀ではなく、例えば某内科教授は解剖学分野の課題で優れた研究業績をあげたことを、「臨床講義」で自慢げに話してくれましたが、それが疾病とどうかかわるかの説明がないことにがっかりしたのを記憶しております。
戦前からひきずってきた研究至上主義に加えて米国追随主義が横行する時代環境にあって、眼科は例外的な教室であったと思います。
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眼科医である私(87歳)が折々に書き散らした文章を、ここにまとめます。
このような調子で投稿していきますので、お暇な時にでも読んでいただけると幸いです。
2024年 敬老の日に