「ステップ化」で変わる学習効果 - 独学塾講師が語る教育のコツ

独学から始まった教育者としての道

私は現在、オンライン学習塾を運営していますが、実は自身の学生時代、一度も塾に通った経験がありません。家庭教師を雇ったこともなく、ほぼ「独学」で学んできました。使っていた教材は「トレーニングペーパー」「進研ゼミ」「三進連研究会の通信講座」など、限られたものだけでした。

教育現場での豊富な経験

それにもかかわらず、学生時代から「家庭教師」や「塾講師」として教育に携わってきました。最も多い時期には月に20名ほどの生徒を家庭教師として指導し、これまでに4つの塾で講師を務めてきました。指導してきた生徒の数は342人を超え、今では正確な人数は把握できないほどです。

偏差値22から81まで - 学力差の本質

指導してきた生徒の層は実に幅広く、偏差値22から81まで、様々なレベルの生徒と向き合ってきました。その中で特に興味深いのが、「偏差値22の生徒と偏差値81の生徒の違い」です。

最も顕著な違いは理解力です。同じ内容を説明しても、偏差値22の生徒は5回程度の反復が必要な一方、偏差値81の生徒は1回で理解できてしまう。この話を聞くと、偏差値の低い生徒を持つ保護者は心配になってしまうかもしれません。

「ステップ化」という解決策

しかし、ここで重要なのが「頭の使い方」です。適切な方法を身につければ、理解力は確実に向上します。その方法こそが「すべてをステップにする」というアプローチです。

教える側も、学ぶ側も、全ての学習内容を細かいステップに分解するのです。「理解できない」という状況が最も多く発生するのは、「一度にたくさんの情報を受け取ったとき」です。1つの問題で1つの公式、1つの解き方を学ぶ場合は比較的スムーズですが、複数の要素が絡み合うと途端に混乱してしまいます。

具体的な「ステップ化」の例

国語の小説問題の場合:

単に「主人公はどう考えているの?」と質問しても、多くの生徒は答えられません。なぜなら、そのステップが大きすぎるからです。そこで、以下のように細分化します:

  1. まずは本文を1回読む
  2. 主人公の発言に線を引く
  3. 主人公の様子が描写されている箇所に線を引く

英語の例:

「This is a pen」を複数形に変える問題も、次のようにステップ化できます:

  1. This → These に変える
  2. is → are に変える
  3. a pen → pens に変える

「ステップ化」の効果

このアプローチの素晴らしい点は、つまずきのポイントが明確になることです。どの段階で理解が追いつかなくなったのか、どこで間違いが発生したのかが、生徒自身にも教える側にもわかります。

また、一つ一つのステップが小さいため、「できた」という成功体験を積み重ねやすくなります。これは学習意欲の維持にも大きく貢献します。

まとめ - 実践のすすめ

「すべてをステップにする」という方法は、どの教科でも、どのレベルの学習者でも活用できる汎用的なアプローチです。生徒自身が学習内容を細分化できるようになれば、自学自習の効率も格段に上がります。

ぜひ、お子様の学習や自身の学びに、この「ステップ化」を取り入れてみてください。必ず、新たな気づきや進歩があるはずです。

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