「入試直前までの逆転合格戦略 - 元教師が語る一発勝負の極意」

一発勝負の試験とは何か

入試、資格試験、中学・大学受験―。これらの試験に共通するのは「一発勝負」という性質です。内申点と入試の合算ではなく、その日の得点だけで合否が決まる試験のことです。実はこれ、受験生にとってはチャンスなんです。

なぜなら、極端な話、普段の実力が10段階中4だったとしても、本番で10を出せれば合格できるから。「そんなことあり得るの?」と思われるかもしれませんが、実際にそういったケースは少なくありません。

入試の本質を理解する

そもそも入試とは何か。それは「その学校が求めている能力を持っている子を見極める場」なのです。だからこそ、学校によって入試問題の特徴が大きく異なります。

例えば、同じ偏差値の学校でも、短時間で多くの問題を解かせる学校は「素早い処理能力」を重視しています。一方で、問題数は少ないものの、一問一問をじっくりと深く考えさせる問題を出す学校は「思考力」を重視しているわけです。この違いを理解し、対策することが重要です。

私の逆転合格体験から学ぶ

ここで、私自身の経験をお話ししましょう。高校3年生の時、私は国立大学への現役合格を目指していました。ところが、10月の模試でまさかの「E判定」。特に理科は177人中最下位という散々な結果でした。

しかも、これは決して努力不足が原因ではありません。2年間まじめに勉強し、高3では受験講座も取っていました。それでも理解できず、教科書を床に叩きつけたくなるほど悔しい思いをしました。

しかし、ここで発想を転換したのです。残された時間が少ないことを考えると、「やることを考える」のではなく「やらないことを考える」必要がありました。

具体的には、それまで使っていた進研ゼミの共通一次向け模擬試験の過去問だけに絞り、それを徹底的に3回解きました。解説とセットで、問題の傾向を徹底的に分析したのです。

その結果、驚くべきことが起こりました。本番では、実力的には84点ぐらい取れるレベルまで到達。転記ミスで実際の点数は66-67点になってしまいましたが、それでも22点から3倍以上の点数に跳ね上がったのです。

学習曲線の真実

この経験から学んだ重要な教訓があります。学習というのは、決して直線的に伸びるわけではないということです。多くの人は「努力すればすぐに結果が出る」と思いがちですが、実際は二次関数のような曲線を描くのです。

最初はなかなか結果が出ないため、多くの人が挫折してしまいます。しかし、継続することで急激に伸びる時期が必ず来ます。この「遅れてやってくる成果」を信じることが重要なのです。

具体的な学習戦略

では、実際にどのように学習を進めればよいのでしょうか。

  1. まず過去問で弱点を洗い出します
  2. 見つかった弱点に特化して集中的に取り組みます。例えば、算数の流水算が苦手なら、4年生から6年生までの教材から流水算の問題だけを抜き出して、1日中それだけをやる
  3. 完璧を目指すのではなく、7割程度の得点を目標にします。例えば5問中2問は完璧に解け、残り3問は半分程度取れれば、全体で7割近い得点になります
  4. 時間が限られている中で、どうしても理解できない分野があれば、思い切って捨てる勇気も必要です

モチベーション維持のコツ

小さな成功体験を積み重ねることが、モチベーション維持の秘訣です。「流水算ができるようになった!」「この単元が理解できた!」といった小さな進歩を認識することで、次の課題へのやる気が生まれます。

ただし、睡眠時間は確保しましょう。それ以外の時間を最大限活用し、入試まで粘り強く続けることが重要です。

最後に:壁を乗り越える意味

「あなたの前に立ちふさがる壁は、それを乗り越えた時にあなたを守る盾となる」という言葉があります。私自身、理科の最下位から這い上がった経験が、今では生徒を指導する際の強みとなっています。

たとえ今の成績が思わしくなくても、入試までギリギリまで諦めずに頑張れば、必ず結果はついてきます。そして、その経験は必ず将来の糧となるはずです。受験はゴールではなく、人生という長い道のりの通過点。この試練を乗り越えることで、必ず一回りも二回りも成長できるはずです。

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