ともさんち

1)「類似の法則」とは?
ホメオパシーは 今から200年以上前に ドイツ人医師のサミュエル・ハーネマン(1755~1843)が確立した療法です。
ホメオパシーについての基礎情報を少しずつアップしていきます。

今回のテーマは 「類似の法則」です。

「健康な人に投与して ある症状を引き起こすものは
それと似た症状を持つ人に与えると 治癒を促すことができる」

この考え方が ホメオパシーを理解する上で もっとも大事な「同種の法則」です。

ちょっと難しいかもしれませんが、おいおい説明していくので読み流していただいてOK!


ホメオパシーという言葉は ハーネマンが古代ギリシャ語の単語の
Homoeo(おなじようなもの) と Pathos(苦しみ・病気) を組み合わせて作った造語です。


Homeo  +  Pathos = Homoeopathy

同じような     苦しみ    同種療法 

同じような苦しみを引き起こすものを使って 治癒に導く療法 という意味です。 

ホメオパシーとか 同種療法という言葉だけだと馴染みがなくて難しくえるかもしれないけれど、
日本にもおばあちゃんの知恵として受け継がれている民間療法の中に「同種の法則」がベースになっているものがあります。

例)
● 寒い時に裸になって乾布摩擦する → 温まる
● 熱があるときに、卵酒を飲む → 熱が下がる
● 熱あるときに、布団をかぶる → 熱が下がる 

乾布摩擦は 寒い時に わざわざ寒いこと をしていますね。
熱があるときも お酒を飲んだり、布団をかぶったり、更に体温をあげることをしていますね。
ここが同種だということです。

体が調和を欠いてアンバランスな状態にあるときに、あえて更にアンバランスさを引き起こし
体がそのアンバランスさを正そうとする動きを利用して治癒に導く療法がホメオパシーです。

他にも分かりやすい例だと
東南アジアなど 熱い国では 唐辛子をたくさん使った料理を食べますね。

暑いときに 体を熱くする唐辛子を食べる → 汗をかいて体が冷える
とういことです。 
 体を冷やしたいから 唐辛子を食べているんですね。
ホメオパシーのレメディには、体を冷やすものから作ったレメディがあります。
体が冷えているときは そのレメディを使えば 体が温まってきます。
またホメオパシーのレメディには、体を温めるものから作ったレメディがあります。
熱があるときは そのレメディを使うことで熱が下がってきます。

レメディという形状をしているけれど、体の中で起こっていることは
乾布摩擦をした時や卵酒を飲んだときと変わらないんですよ。


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2)作用・反作用の法則
作用・反作用の法則は、万有引力の法則を発見したニュートンが発見した法則です。 

作用・反作用の法則とは
「 与えた作用に対して その反対方向に
  与えたものと等しい大きさの反作用が常に働く」
というものです。

これは法則なので 今日はそうなったけれど、明日は違う、ということはありません。

ニュートンが発見した有名な法則に 「万有引力の法則」 がありますが、
これも法則なので リンゴは常に木から落下します。
今日は落下したけれど、明日は落下しない、ということはありません。
100年前は落下したけれど、今は宙に浮く、なんていうこともありません。
​法則とは例外がないものです。

ホメオパシーも「作用・反作用」という法則をベースにしています。
なので普遍的であり、例外なく働きます。

​ホメオパシーは200年前に誕生した時点で普遍的な法則ベースであったという点は注目に値します。
200年前に確立した療法が今でも使える理由はそこにあるわけです。

作用・反作用の例
 ●「壁を押す」と 「押したときと同じ力で壁が押し返す」など。
  (作用) 壁をそっと押す力    
  (反作用) 壁が押し返してくる力
  
​  (作用)台車に乗った状態で壁をそっと押すと
  (反作用)壁から押し返されるので、台車は少しずつ後ろに動きます。

  (作用)壁を力強く押すと
  (反作用)壁から押し返される力も強くなるので、台車は勢いよく後ろに動きます。

これは 経験的に知っていることなので、イメージがつかみやすいんじゃないかと思います。

 ●ロケットが飛ぶのも、作用・反作用で説明できます。
 (作用) 地球に向けて噴射する
 (反作用) 地球がロケットを押し返してくる、その力で浮く
そして、私たちも自然の一部です。
「作用・反作用の法則」 を免れることはありません。
与えた力(刺激)に対して、反対の力が働きます。

●手を温めたい時に冷やす
 (作用) 手を冷たい水の中に入れる  
         ↓  
 (反作用) 水から手を抜くと手が温まる

 手を冷やせば、反対に温まってきます。

​◎病気の症状に合わせて作用を入れると(同種にすると)
 反作用が治癒作用になります。

 (作用) 「熱がある」ときに「熱が上がる」ことをする (同種)
         ↓  
 (反作用) 熱が下がる(反作用=治癒作用)

 
●発熱時に玉子酒を飲む
 (作用) 「寒い」ときに、体を冷やす (同種)
         ↓ 
 (反作用) 温まる(反作用=治癒作用) 

●乾布摩擦をする

​なんとなくイメージつかめましたか? 

作用を同種にしておくと、反作用が治癒反応になってますよね!

健康状態が()のときに、それと同じ()の作用をあえて入れてあげると、
反作用の結果 (+)に導かれるわけです。

あえて、同じ()の作用を入れる。

ここが類似の法則と呼ばれる理由です。

ホメオパシーの理論的なところとしては「類似の法則 と
そのベースとなる「作用・反作用の法則」をしっかり押さえてくださいね。

ホメオパシーという同種療法は
体調不良があるときは、その体調不良にできる限り類似した症状を
作ることができる物質から作られたレメディを使い
反作用である治癒反応を引き出すことを狙っています。

できるだけ類似した症状を作ることができるレメディを選べるか、
ここに全てがかかっています。


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3)『類似の法則』の発見
​「​類似
の法則」の発見について、ホメオパシーの歴史をご紹介します。

ハーネマンは医師でしたが 当時の医療(1700年代後半)に絶望していました。

​当時のヨーロッパの医学では、汚れた血を体から取り除けば健康になると考え、
静脈を切って血を排出させる瀉血や、ヒルを使って血を吸い出させていました。
また、階級を問わずに大流行していた梅毒には水銀カクテルを飲ませたり、
​水銀の蒸し風呂に入ることが有効だと考えられていました。

このような治療の副作用により多くの人が命を落としていました。

 ハーネマンは当時の治療法に疑問を感じるようになり、医師の仕事から遠ざかり、家族を養うために
得意な語学を活かして翻訳の仕事をするようになりました。

1790年のある日、ハーネマンは翻訳中の本の中に興味深い一文を見つけます。
それはイギリスのカレンによる『植物大辞典』の、「キナ皮の苦みが、マラリアを治す」というものでした。
当時、キナ皮はマラリアの特効薬として使われていました。

ハーネマンは「苦いものはキナ皮でなくても、ほかにもたくさんあるのに」と不思議に思い、自分自身でキナ皮をとって実験することにしました。

すると、ハーネマンはガタガタと震えはじめ高熱が出て、マラリアにそっくりな症状がキナ皮によって引き起こされたのです。
ハーネマンは他の人にも協力してもらいこの事実を確かめました。
キナ皮は健康な人にはマラリアのような症状を起こしますが、不調な人の中には健康になった人もいたのです!!

こうしてハーネマンは「同じような症状を引き起こすものは、同じような症状をもつ人を治す」
ということを発見しました。


参考書籍:『ホメオパシーってなぁに?』
     CHhom(カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー)​


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​4)「マテリア・メディカについて」その1
​自分の症状にマッチしているレメディ、同種のレメディを探す上で必要不可欠なマテリア・メディカについて。

現在、たくさんのマテリア・メディカが編纂されていますが、私が RAH (Royal Academy of Homoeopathy 現CHhom)に在学中は
『純粋マテリア・メディカ』と『慢性病論マテリア・メディカ』を基本としてレメディの勉強をしました。 
マテリア・メディカっていう言葉自体あまり馴染みがないですよね。
どんなものだか 想像すらつかないかもしれませんね。
ハーネマンが 『同種の法則』 を発見したのは、自分自身でキナ皮を食べてみたら高熱が出たからでした。
このように、ある物質をとったときにその物質の作用として症状が出てくることをプルービングと呼びます。
マテリアメディカとは、このプルービング症状をまとめて掲載しているものです。

ハーネマンはキナ皮の他に
 ● 薬草、毒草などの植物
 ● ヘビや蜂などの動物
 ●  水銀、砒素、硫黄などの鉱物(ミネラル)
などを健康な人にとってもらいその物質がどんな症状を引き起こすのか実験をしました。
そして引き起こされた症状を注意深く観察し マテリア・メディカと呼ばれるレメディの辞典のようなものにまとめました。

純粋マテリア・メディカ : 75個のレメディ
慢性病論マテリア・メディカ : 48個のレメディ
そのうち17個のレメディが両方のマテリア・メディカに載っているので、ハーネマンは生涯で106個のレメディのマテリア・メディカを完成させたことになります。

これらのマテリア・メディカでは、各レメディにつき、引き起こされた症状を部位別に羅列しています。

●アコナイト(Acon.)のプルービング症状は、全部で541もあり20ページに渡って掲載されています。
参考までに 部分的に抜粋すると
  1) めまい、脳がぐらぐらと揺れるような感覚。
  2) めまい、とくにかがんだとき、あちらこちらへとよろめく、特に右側へ。
       ・
       ・
       ・
  232) 排尿困難
  233) 不安を伴う尿意切迫
  234) 尿意切迫。尿は以上なほど少量しか出なかった。
      排尿困難、まるで痛みなくしては尿が出ないかのよう。
      臍のあたりに軽くつねられるような痛みもあった
       ・
       ・
       ・
   539) 時々再発する、死への恐怖
   540) 死が近づいくると言って恐れ、嘆く
   541) 不幸の遭遇するのではないかという恐れ
・・・とこんな感じで、症状が だだだだだぁ~っと並べられております。
簡単に想像がつくと思いますが、マテリア・メディカの勉強は大変でした。
どこを読んでいるのかわからなくなってしまったり、すぐに眠くなってしまったり。
ホメオパシーのどのレメディの原材料となるものは、症状を引き起こすことができるものを使うので、毒性があるものを使うことが多いんです。

そしてプルービングに協力してくれる健康な人(プルーバー)は、毒性のあるものをとらされるので、めまいや吐き気、倦怠感など似たような症状はどのレメディにもあったりします。
なので頭の中で混乱してきてしまうんですよね。

プルービング症状の数が多いレメディになると、症状数は軽く1000を超えるんですよ!!
Sep.(シイピア/イカスミ)の症状数: 1655
Nux-v.(ナックスボミカ/マチンシ): 1300
Ars.(アーセニカム/ヒ素): 1230
Puls.(ポースティーラ/セイヨウオキナグサ): 1150
まだまだ他にも症状数が1000を超えるレメディがいっぱいあります。

1つ1つのレメディのプルービングを全て暗記するのは至難の業。
そこで、症状の羅列ではなく、もうちょっと特徴がつかみやすいように、そして臨床での結果を反映させて編纂されたマテリア・メディカの出番です。


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5)「マテリア・メディカについて」その2
​ハーネマンが残したマテリア・メディカ は本当に素晴らしいものです。

その理由は
  その物質が引き起こす症状が そのまま編集されずに
  手を加えられていない状態で載っているから。
ではなぜ、編集されない状態で載っているといいのでしょうか?

それは、
現在、何かしらお困りの症状がある場合、その症状とそっくりな症状を引き起こすレメディをマテリアメディカの中から見つけることができたら、そのレメディをとることで健康的な状態を取り戻すことができる可能性があるからです。

マラリアのような高熱がある人が、マラリアの特効薬とされていたキナ皮をとったことで健康を回復したように・・・。

トリカブトから作ったレメディのアコナイト(Acon.)ですがプルービングにはこんな症状も載っています。
513) 動悸と不安、体温が上昇する、特に顔
514) 動悸、大変な不安と息苦しさと四肢の大変な疲労感を伴う。
    動悸が頭にも上り、ほてるような顔の赤みのためぼうっとする。
もし今の健康状態が、 「動悸があって、不安を感じていて、顔がほてって赤くなっている」 としたら
アコナイト(Acon.)をとることで 健康的な状態を取り戻すことができるかもしれない、そういう可能性がありますよ、ということになります。
もしアコナイト(Acon.)をとることで症状が落ち着いてきたとしたら、アコナイト(Acon.)が同種だったと言うことです。

繰り返しになりますが、ホメオパシーの同種療法というのは体がマイナスな状態にあるときに、あえて同種のマイナス状態を引き起こすことができる刺激(作用)を体に与え、体の反作用を利用してプラスに戻す療法です。

自然な疾患(今の症状)と人工的な疾患(レメディが作る症状)ができる限り類似していることで、反作用が治癒反応になります。
セルフケアに使うマテリア・メディカではアコナイト(Acon.)について、「体が冷たくて血液循環が悪い」という記述はあります。
でも「顔がほてる」という情報は載っていません。
マテリア・メディカをコンパクトに編纂している段階で落ちてしまったんですね。

コンパクトさや利便性を求めたことで失われている情報があるので、ホメオパスはハーネマンが書き残した「純粋マテリア・メディカ」と「慢性病論マテリア・メディカ」を基本のマテリア・メディカの1つとしています。

情報が多すぎるけれど、失われているものはないのです。

クライアントさんの症状にあっていそうなレメディ候補が浮かんできたらホメオパスは「純粋マテリア・メディカ」や「慢性病論マテリア・メディカ」 などで確認していますよ。
 
セルフケアでレメディを使っていて 
●  「レメディ使ってみたけど 私にはあわなかった」
● 「効果があるのかないのか わからなかった」
● 「手応え感じないなぁ~」
という方は、ホメオパシーを見捨てる前に、一度ホメオパスに相談して、マッチするレメディを探してもらって欲しいなぁ~と思います。


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​6)「レメディの作り方」​
​ハーネマンは、『慢性病論』と『医術のオルガノン』という本の中で
レメディの作り方を厳密に指示しています。

その作り方を簡単に説明します。
​では、カルカーブを作ってみましょう
 
 レメディの材量、 牡蠣殻(カキガラ)1グラン(0.062g) を乳鉢に入れて、そこに100グランの乳糖を3回に分けて加えて、ゴリゴリとよくかき混ぜます。 

1Cの完成 です。

「100グランの乳糖を加えて混ぜる」 という作業をあと2回繰り返します。1グランの1Cに、100グランの乳糖を加えてゴリゴリとよく混ぜます。

これで 2Cの完成 です!

 「100グランの乳糖を加えて混ぜる」 という作業をもう一度繰り返します。 1グランの2Cに100グランの乳糖を加えてゴリゴリとよく混ぜます。 

これで 3Cの完成 です!

 3C(100万倍希釈)まで完成したら 液体で希釈 していきます。100万倍希釈になると、どんな物質でも液体に溶けるようになるからです。
  100万倍希釈までなったもの1グランを100滴の液体 (水50滴 + アルコール 50滴) に溶かします。
  そして 2回ほど トーン トーン と震盪します(叩きます)。 

これで4Cの完成です!

*レメディの持つ効力(作用の力)は、振盪することで生まれます。

 4Cの1滴を99滴(または100滴)のアルコールに希釈します。 
そして2回ほどトーントーンと震盪します(叩きます)。 

これで 5Cの完成 です!


この先は同じプロセスになります。
1滴を 99滴または100滴のアルコールに希釈し、2回震盪するという方法で、ポーテンシーを上げていきます。
 
セルフケアでよく使われる30Cというポーテンシーのレメディは「100倍希釈+2回震盪」のプロセスを、あと25回繰り返していきます。
そしてポーテンシーが30Cまであがったら、液体1滴を乳糖(砂糖玉)に垂らして完成です。

ハーネマンは、レメディの作り方について、とても細かいところまで指示をしています。

原材料となる物質に乳糖を加えて 乳鉢ですりつぶすときは、乳糖は3回に分けていれなさい、とか乳糖の3分の1を加えたら6分間すりつぶして、4分間はすりつぶしたものを真ん中に集めてきて、また6分間すりつぶして、また4分間は真ん中に集めてきてと20分の時間をかけなさい、とか本当に細かいところまで指示しています。

なので 『慢性病論』 や 『医術のオルガノン』 を読めば、レメディを自分で作ることも可能なんですよ。

実際に作るかはどうかはわからないのですが、自分でレメディを作りたくなったときのために、乳鉢をドイツから購入して持っています。

細かい話になっちゃうんですが、液体で希釈する段階になったら、「2回振盪する」 という方法は、慢性病論(p.247)に初めて紹介されました。
慢性病論より以前の書物には「10回振盪する」という方法が載っていましたが、2回振盪するほうがレメディの作用が穏やかだということで、2回振盪に変更されています。

振盪(叩く)作業は、とても大事です。

ホメオパスにかかって、液体のレメディを出されている方がいらっしゃるかもしれませんネ。
ホメオパスさんに、「とる前に 瓶を叩いてくださいね」 と言われているかなと思います。

同じレメディでも、瓶を振盪する(叩く)ことで、レメディの作用を少しだけ強くしていきます。
そうすることで 体がレメディによる刺激に慣れてしまい、反応できなくなってしまうことを防いでいます。

長期間、同じレメディをとり続ける場合は(つまり慢性疾患がある場合)、液体のレメディを叩きながらとるのがおススメです。

追記:
震盪する(叩く)回数は、レメディメーカーによって異なります。
震盪回数を知りたい場合は、レメディメーカーにお問い合わせください。



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7)「レメディの素晴らしいところ」
​ホメオパシーは同種療法であり
  「ある症状を引き起こすことができるものが、その症状を癒すことができる」
という法則にのっとっています。
ちょっと復習になりますが、 健康な人が キナ皮をとったら 高熱が出た。
高熱がある人が 高熱を引き起こすキナ皮をとったら 健康を回復した。
これが同種の法則でしたね。
でも現在のホメオパシーではキナ皮をそのままはとりません。
前記したような方法でレメディを作り、レメディをとってもらいます。
*キナ皮から作ったレメディは、チャイナ(Chin.)といいます。

​それは 原物質のままよりも レメディをとったほうが
● 希釈していることで 原物質の毒性が消され
● 振盪していることで 治癒力が高められている
からです。
ハーネマンは 『慢性病論』の p239 でレメディにすることで、もともと医薬作用がないようなものが「途方もない治癒力を持つものになる」と言っています。

● 物質として 大した医薬作用をもたないもの
   ヒカゲノカズラの花粉 → ライコポディウム(Lyc.)
   岩塩 → ネイチュミア(Nat-m.) 
● 物質として 全く医薬作用を持たないもの
   石英 → シリカ(Sil.) 
   アルミ → アルミナ(Alum.) 
   金 → オーラム(Aur.) 
● 微量でも猛毒のもの    
    砒素 → アーセニカム(Ars)  
    水銀華 → マーキュリーソル(Merc-sol.)  
 
つまり、ライコポディウム、ネイチュミア、シリカ、アルミナ、オーラムなどは、原物質のままとっても、大した効果はなかったのですが、ホメオパシーのレメディにしたことで 素晴らしい治癒力を持つようになったわけです。

逆に、物質として微量でも猛毒であるものは、 レメディにすることで
 「作用が穏やかであるだけでなく、
  これまで知られていなかった治癒力を
  信じられないくらいに発揮させる」 
 (慢性病論 p239)
と言っています。

作用が穏やかになる、というのは、つまりは毒では死なないよ!ということ。

ホメオパシーでは 猛毒の毒草やヘビの毒、砒素、水銀などの有害ミネラルなど、もともとの物質が毒であるものから作られたものが多いのですが、レメディにすることで作用が穏やかになるので原物質の毒性を気にする必要はありません。
トリカブト、ヒ素、ドクニンジン、水銀、どれも猛毒です。
  「そんな恐ろしいものをとって大丈夫なの?」 
  「薄めているのに効果があるわけないよね。どうせプラセボでしょ?」
  「物質がないのに、きくわけないよね。怪しすぎる!」 
・・・と思う気持ち、よぉ~くわかります。

が、しかし、200年近く前にハーネマンが実験を繰り返し、レメディにすることで 毒物は作用が穏やかになっただけでなく (毒性は消える)
 プラスして (隠されていた)他の治癒力を発揮するようになるということを発見しています。
 今だったらノーベル賞ものの大発見でしょう。

ハーネマン自身も
 「こうした驚異的な変化を発見したのが
 ホメオパシーであったということは喜ばしい」
 (慢性病論 p239)
と素直に喜びを表しています
相当うれしかったんだろうなと思います。

他にも発見がありました。
現物質では水にもアルコールにも溶けないものを、乳鉢で乳糖と混ぜて摩砕し3C(100万倍希釈)まであげると、粒子が微粒子化され、液体に溶けるようになるという発見です。
マーキュリーソル(Merc-sol.)という水銀から作ったレメディの正式名称は、Mercurius Solubilis (Hahnemann) でハーネマンの名前がついています。
Mercurius  は水銀
Solubilis  は溶ける
という意味です。
世界で初めてハーネマンが水銀を液体に溶かす方法を発見したからこの名前がついているんです。
金属を液体に溶かす方法は、ハーネマンより以前は知られていませんでした。

​ハーネマンは実に研究熱心であり、実験に実験を重ね、多くの発見をした人です。